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「育成文化」を築く

社員の成長を支援するのは上司です。それが当たり前に行われるためには、「育成文化」を築く必要があります。私の前職2社目の企業では、かなりそれが当たり前の文化になっていました。育成文化を創る基本を話したいと思います。

 

「育成文化」を創るための重要な第1ステップは、あるべきマネージャーの姿(役割とリーダーシップモデル)と共に、「アカウンタビリティ=達成責任」を明確にし、その実行を徹底することです。たとえば、前職2社目P&Gでは、会社の経営理念の中に人材に関するものがあり、その中には、「マネージャーは部下育成の実績で評価される・・・」と明記されてあり、実際、毎年のマネージャーへの査定は、「ビジネス成果」と「部下育成成果」という2つの同等の比重を持った評価軸で行われていました。品質管理の原則にある、「測られるものは、達成される」ということがそのまま当てはまります。会社が本当に長期的にビジネスの成長を望んでいるのであれば、育成能力のない人をマネージャーにすること、そして、その能力を高め続けるために、きちんと評価することが不可欠です。

 

2つ目の重要なステップは経営陣や部門長から、「人材育成を行うマネージャー」のロールモデルとなり、自ら部下を教育し、フィードバックやコーチングを行い、人材育成を率先垂範していかなくてはなりません。「子は、親の背中を見て育つ」と言われるように、やはりまず、上の方が、お手本を日ごろの活動の中で見せていかなくてはなりません。最初から完璧にできる必要は全くありません。とにかく、現場で実践してもらうことです。経営陣や部門長の方々に、社内研修プログラムのプレゼンターやファシリテーターになっていただくこともお勧めします。これは、P&Gの中でも経営幹部の方々に企業大学プログラムの講師をしていただいていました。この体験は、リーダーの質問力、フィードバック力、コーチング力を更に高めるのにもたいへん役立つものです。

 

3つ目のステップは、マネージャーに育成能力をつけてあげることです。育成の方法はたくさんありますので、単にコーチングだけでなく、関係構築やリーダーとしてのメッセージの在り方、スキルの教え方なども習得していただいてください。研修1か月後などにフォローアップを行い、活動の成果、残っている課題などを確認しながら、更なるスキルアップを推進することが重要です。長々と行う必要は全くありませんが、1回の研修だけででは、体得できませんので、育成行動の進捗度合をレビューする機会やしくみを導入してください。そのひとつには、マネージャーの上司の方に、フォローアップするアカウンタビリティを持たせることが入ります。

 

「アカウンタビリティ」、「マネジメントのロールモデル」、「マネージャーの育成力の強化」の3点ですが、皆様の会社ではいかがでしょうか?もし皆さんの組織に育成文化ができていないのであれば、これは2016年度の重要な取り組みとしてみてはいかがでしょう。育成と成長の文化ができれば、人事が警察や医者や先生の役割をする必要がなくなります。実りある2016年度にしてください!

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